百薬の長

おはようございます。

支援センターふなばし

ケアマネジャーの佐藤寛子です。

 

 

今日は

依存症の話。

 

担当させていただいているAさん。

かつて

アルコール依存症と診断されました。

 

一時期に比べれば飲酒量も減り

ずいぶん改善されているのですが・・・

 

奥様はいつも言います。

「お酒さえなければ、とてもいい人なのに。」と。

 

 

 

私が訪問した際

無精ひげが伸びていたりすると

「こんな格好じゃ申し訳ない。」とすぐにキレイにしてきたり。

お庭の手入れが好きで、とても詳しかったり。

穏やかな、とてもいい方です。

 

かと思うと

話をしていても

「今日はなんだか調子が出ないな。」と

私の前で水割りを作り始め

午前中からでも飲んでしまう。

 

全て禁止するのは

かえってよくない、とのことで

今でもある程度の飲酒は認めています。

奥様も

「絶対ダメ!!」とは言いません。

 

 

今まで奥様は

お酒に悩まされ

相当な苦労をしてこられました。

それなのに

いつも笑顔

 

「この人面白い人でしょ?いつもおかしなことばっかり言ってるのよ

「この前、息子が車で一緒に出かけてくれた。楽しかったね

 

そう言って

Aさんにも笑顔で話しかけ

私にも笑顔

作り笑いでないことは、わかります。

これまで

たくさんの苦労をされてきただろうに・・・

 

 

 

そんな奥様。

昨日お会いしたら

いつもと様子が違うのです。

いつもの笑顔はどこへやら

明らかに表情が「苦痛」に変わっている。

 

Aさんは

ガンの診断を受けています。

徐々に進行しているものと思います。

 

そこにお酒が加わる。

 

体力も落ちている中で

数か月前と同じ飲酒量だったとしても

体には大きなダメージです。

 

 

お酒を飲んで動けなくなる。

動けなくなると、トイレにも行けなくなる。

「もう、ずっと垂れ流し状態。紙パンツもはかせているけど、すぐに汚してしまう。」

疲れたお顔で話されます。

他にもいろいろと弊害が出ています。

 

「そんなに飲んでないだろう、と主人は言うけど、今までの体と違うことがわかっていない。」

「こちらがどれほど考えて、お酒を飲まないように対策していても、主人にはそれがわからない。」

奥様の笑顔は

消えてしまいました。

 

 

 

Aさんは

あまり表情をお顔に出しません。

もともと

自分の思っていることを

言葉にする方ではなかったそうです。

 

ガンになり

どこか不調があるかもしれないけど

それを口にしたことはありません。

いつも「大丈夫」

 

もしかしたら

お酒に逃げているのかもしれません。

それは

自分をごまかすため。

 

 

今も、昔も。

 

 

奥様も言います。

「体が辛くて、お酒でごまかすことしかできないのかもしれない。」

 

 

楽しみがあるのはいいことです。

加えて

家族や友人、自分を支えてくれる存在があるということは

とても幸せな事です。

ですが

やはり自分自身の在り方も大切。

そんなことを考えさせられます。

 

 

依存症。

大切な方を悲しませるかもしれません。

皆さまもお気を付けくださいませ。