覚悟する

おはようございます。

支援センターふなばし

ケアマネジャーの佐藤寛子です。

 

Aさんは娘さんと2人暮らし。

先月半ば、退院する際に、ケアマネジャーとして担当させていただくことになりました。

 

病院の相談員さんからの話では「以前から治療を拒んでいる方です。今回も救急搬送されて入院しましたが、積極的な治療を拒み、自宅に帰りたいというので帰します。」とのこと。

「自分の意思がはっきりしていて、頑固で困ります」とのこと。

 

 

そんなAさん。90歳間近。

お耳も遠くて、こちらから伝えたいことは紙に書く。

 

ラーメン屋に行きたいからと、カップラーメンを食べてみたり。

すき焼きが食べたい!とヘルパーさんに作ってもらったり。

毎日、お寿司の出前を頼んでみたり。

 

 

ほんの少ししか食べられませんが、看護師さんも「あの食生活では、次の定期受診で入院かも。」と。

 

 

そして、看護師さんから連絡が入ります。

「服薬を拒否して、あさっての受診も行かない!と言っている。どうしますか?訪問診療に切り替えますか?」

 

受診予定の大学病院に連絡し、状況説明。

訪問診療に切り替えることが可能か相談しました。

 

先生の回答は2択。

・受診して、これからについて相談する。

・自宅で最期を迎えるなら訪問診療に切り替える。

 

 

娘様に連絡し、自宅に伺いました。

 

この先のこと。

娘様にも意思確認しなくてはなりません。

死が近づいていることを伝えなくてはなりません。

「父は頑固だから、病院に行かないと思います。自宅で、と言うならそうするしかない。」

 

Aさん。

すでに苦しそうですが「大丈夫。病院には行かない。」と。

 

「このままだと具合が悪くなって、自宅で最期を迎えることになります。」

こんなことを紙に書くのは、言葉を濁すこともできず、重い。

 

Aさんははっきりと

「そうなることを望んでいました。そうしてください。延命治療はしたくない。」

 

なにか心配なことはあるかたずねると、ははっと笑って

「心配なんて、とうに通り過ぎました。」

 

 

そこには、すでに死を覚悟した姿があって、潔かった。

 

 

この仕事をしていると、たくさんの死と直面します。

自宅で最期を迎える方は、なおさら現実のものとして目の前に迫ります。

 

 

いろんな方から聞く、ここ数年間でAさんがしてきたこと。

しっかりとこの先を見据えていた。

それは全て、人生の終わりを迎えるために準備してきたことなんだ、と感じました。

 

頑固なAさん。

 

最期までしっかりと、意思を貫けるよう、みんなでお手伝いさせてください。

 

 

今月の事務所のお花はチューリップ。

かわいいですね。

優しいですね。